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執筆者の写真プラナビ編集部

江中建設物語

更新日:2020年3月17日

-えなかけんせつものがたり-


老中・水野忠邦による天保の改革を歴史で学んだ記憶をお持ちの方も多いかと思いますが、その天保年間の創業以来180年に及ぶ歴史を育んできたのが江中建設です。


大正時代までは地域屈指の棟梁として神社仏閣から屋敷に至るまで幅広く手がけ、大正末期に目黒や世田谷に陸軍や海軍の施設ができるようになると、高級将校・将軍たちが周辺に住まいを求めるようになり、地元で評判の高い江中棟梁に依頼が舞い込むようになります。


こうした需要に対応するために会社組織を立ちあげてからでも既に4代が経過しているという、東京でも屈指の老舗工務店です。


同社に仕事を依頼する建築家や施主の多くが「社長の人柄に魅かれて・・・」と名前を挙げる江中忠久(えなか・ただひさ)さんは、大学卒業後に他社で6年間の修行を経た後に江中建設に入社し、現在はトップとして采配を振るっています。


江中社長が常に心がけているのは「今の仕事をずっと続けていくこと」です。


世の中には一時的に有名になったり大きな利益を挙げていても、その後消えてしまう会社がいくらでもあります。

何十年、時にはそれ以上に渡って家族を守るべき「家」を施工しているだけに「変わらずそこで仕事をしている」ことが施主にとってどれほどの安心感につながるか、会社を存続させて仕事を続けていくことの大切さが江中建設の長い歴史を通して語り継がれているのです。


ただし「仕事をずっと続けることは変化しないことではありません」江中さんはそう語ります。


変わらず仕事を続けるためには新技術への目配りも必要で、大手企業との協業などを通じて新しい建築技術をいち早く取り入れたり、現場ニーズに合わせてITツールも積極的に活用しています。


「変わらないためにこそ、変わることが大切」とのお話には思わず深く頷かされました。


また「仕事を続けるためには、何よりも人を育てていかなければなりません」から、同社では住宅建築の中核となる大工の育成に力を注いでいます。


社員大工をしっかりと育成し、育った大工には独立を奨励しているのです。

独立することで収入がアップするだけでなく、何よりも棟梁としての大工に求められる「現場を仕切るマネジメント力」が高まるのがその理由です。


「施工品質とは、技術力に加えて現場同士や建築家・施主とのコミュニケーションやアフターメンテナンスに至るトータルの品質であり、それをどうすれば高め続けることができるかを考えて実行するのが私の役割です」と語る江中社長。


あたり前のことを言われているようですが、実際に何十年・いや180年に渡って続けてきた歴史があるだけに、その言葉には重みと説得力がありました。

長く続いている会社には、誰もができると思えることを、誰もできないほど継続し続ける力がある。



家を”買う”ものから"創る"ものへ

プラナビ編集部 上野




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