-プロが認めた建築・インテリア-
最先端の工業技術で表現するエレガントなデザインを世界へ発信
わたしが推薦します/建築家 DIG DESIDN-ディグデザイン- 嶌陽一郎
建物を設計するなかで、家具や照明は空間を演出する大きな要素になります。
たとえば真っ白なダイニングにペンダント照明を吊すだけで、空間にメリハリがついて部屋の雰囲気が変わります。
カルテルはそのような空間のアクセントとなる、家具や照明が多く取り扱われている会社です。
他では見られない独特でポップなデザインだけれど、空間に合わせるのが難しいということはなく、スーパーモダンな空間にも、和モダンな空間にもどちらでもしっくりきてしまう、そんな柔軟さをもつアートのような印象的な商品がたくさんあります。思わず触ってみたくなるような近代的な材料を使っている商品でも、デザインはどこか重みのある伝統を感じさせるような、高級感のある雰囲気をもっているのもカルテルの大きな魅力の一つです。
素材だけでなく色や大きさのパターンも豊富なので、空間に合わせて選ぶ楽しみを感じられます。ショールームも都心にあるので、住宅や店舗を設計する際にお客さんに紹介がしやすいのも良いところです。
目次
1 世界中のどこに置いても、まぎれることのない存在感
2 名だたる一流デザイナーとのコラボレーション
3 成型による機械生産に向く、プラスチックという素材
4 軽やかに浮遊する、シャボン玉のような照明
5 収納家具の傑作、半世紀にわたるロングセラー
6 会社情報
7 Special Thanks by プラナビ
世界中のどこに置いても、まぎれることのない存在感
東京の南青山にあるフラッグショップの壁一面に、美しく飾られた椅子やテーブル。大きな窓から降り注ぐ光を受け、ひとつひとつがまるで美術品のようです。クリスタルやメタル、陶器や木など、様々な素材でつくられているかのような家具たち。これらすべてが、プラスチックでつくられているとは、とても思えません。思わず触れてみたくなります。
「カルテル」の家具は、世界中のどこに置いても、まぎれることなく独自の存在感を放ちます。まるで、家具の所有者を、一段の高みに連れて行ってくれるかのようです。なぜ、こんなにも存在感を放つのでしょうか?
それは、「圧倒的なデザイン」と「プラスチックの一体成型」がもたらす、革新的な創造性にあるのかもしれません。
照明@カブキ
名だたる一流デザイナーとのコラボレーション
ねじれたスパイラルの造形が天面まで続き、ダイヤモンドのような閃光(スパークル)を生み出すテーブルは、日本が世界に誇るデザイナー吉岡徳仁がデザインしたもの。
「吉岡氏の最も得意とする、透明でまるでクリスタルのような光の屈折が生む美しい質感を、プラスチックで再現した意欲作です。表面に施されたプリーツが生むプリズム効果によって、宝石のようにキラキラと輝きます。テーブルが与える印象しかり、スパークルと命名されました」(トーヨーキッチンスタイル・田之上さん)。
また、カルテルのアイコンとも言えるベストセラーモデル「ルイ・ゴースト」は、フランスの一流デザイナー・フィリップ・スタルクが手掛けました。旧仏大統領F・ミッテランの依頼により、大統領官邸の内装を手掛けたことで評判となり、以降、世界的に高い知名度を誇るデザイナーです。
ルイ・ゴーストは、気品あふれるルイ15世(バロック)スタイルの椅子を、スタルク独自の創造性で現代風にアレンジ。透明色とオペーク色のプラスチック素材で再現したといいます。
吉岡徳仁やフィリップ・スタルクなど、多くの一流デザイナーとの、積極的なコラボレーションも、カルテルの最大の魅力のひとつです。
フェルーチョ・ラヴィアーニ@フライ、カブキ等
吉岡徳仁@スパークル等
フィリップ・スタルク@ルイゴースト、ミスターインポッシブル等
パトリシア・ウルキオラ@クラップ等
ルイゴースト
成型による機械生産に向く、プラスチックという素材
化学エンジニアであったジュリオ・カステッリによって、1949年ミラノ近くの田舎町で誕生したカルテル。当初は、車のパーツや家庭用品、照明パーツなどの製造を行っていたといいます。その後、プラスチック加工技術を活かした、革新的な家具の製造をスタート。
「プラスチックは、成型による機械生産に向く素材」と、その特性にいち早く着目したカステッリは、オートメーションによるプロダクトの開発に力を入れ、製品ごとに適した一体成型技術を確立していったのです。
現状に留まらず、新たなプラスチックの利用と、新たな技術やプロセスの探求。その結果、透明性や柔軟性、異素材感や美しい色といった、まったく新しい性質が、プラスチック製の家具に宿っていったのです。
チェア「ミスターインポッシブル」@製造風景 カルテル@工場外観
軽やかに浮遊する、シャボン玉のような照明
フラッグショップのメインフロアーとは対照的に、ダークトーンに抑えられた地下のフロアーには、様々なフォルムの美しい照明が、整列するように置かれています。
なかでも、軽やかに浮遊する、シャボン玉のようなフォルムのペンダントライトが、ひときわ目を引きます。「フライ」という名前が付けられています。半球をわずかに長くしたフォルムが、優しく光を包み込むかのようです。
「熱に対する劣化が少ないプラスチックは、ランプシェードに生かせる」というカステッリのひらめきから、1958年に照明事業を開始したカルテル。その翌年、カスティリオーニ兄弟(20世紀のイタリアを代表する建築家かつデザイナー)がデザインしたハンギングランプ「KD」が、カルテル初、そして世界初のプラスチック製照明となりました。
そして、このハンギングランプにインスピレーションを受け生まれたのが、「フライ」です。デザインは、若きイタリア人建築家フェルーチョ・ラヴィアーニが担当しました。
「赤、青、緑、黄色などカラフルな透明色や、透け感のないシックなモノクロ、エレガントなメタリック仕上げのゴールドやクロームなど、多色を組み合わせて吊るすと、いっそう楽しい雰囲気が演出できます」
照明@フライ
収納家具の傑作、半世紀にわたるロングセラー
カステッリの妻アンナの創造により生まれた「コンポニビリ」は、収納家具の傑作といわれています。丸くて親しみやすい艶やかなフォルムを、みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
カルテル最初のデザイナーでもあるアンナ。彼女による、プラスチックを用いた組み立て式の収納家具は、1967年当時、あまりにも前衛的で、デザイン界に大きなインパクトをもたらしたといいます。軽量で適応性があり、用途が広く実用的。誕生より50年以上経った今でも、カルテルのベストセラーとして愛され続けています。
昨年、コンポ二ビリ誕生50周年を記念して、オマージュモデル「コンポニビリスマイル」がリリースされました。ユニークなルックスながらも高い実用性は従来品そのままに、カルテルを象徴する赤を採用。キッズルームをはじめ、様々な生活空間に、笑顔で寄り添うアイテムに仕上がっています。
プラスチック製品の価値を、単なる機能的なモノから真に贅沢な逸品へと変えた「カルテル」。圧倒的なデザインと独自の技術で、これからもプラスチック製品の価値を高め続けてくれることでしょう。
カルテル@ランタン
会社情報
株式会社トーヨーキッチンスタイル/TOYO KITCHEN STYLE Co.,Ltd.
取材後期
ペンダントランプ「フライ」を見た瞬間、新しいのにどこか懐かしいような感覚を覚えました。カルテル初のランプ「KD」にインスピレーションを得て生まれたものだと知り、腑に落ちました
(取材:ライター青木)
Special Thanks by プラナビ
Kartell-カルテル- をご推薦くださいました
建築家 DIG DESIDN-ディグデザイン- 嶌陽一郎
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